林遣都が出ている「初恋の悪魔」の第一話をみた。
このドラマの林遣都に似ていると言われて、確かに眼鏡とか、着ているシャツとか色々似ていた。熱が出た状態でオーバーワークに追い込み、糖分を与えずに三徹くらいさせたら、こういう言動にもなるかもしれない(なりません)
どうでもいいけど、ルブタンが「元彼の遺言状」(前シーズンのドラマ)に引き続き出てきましたね。ハイブランドの靴としてアイコニックだからかな。「贅沢のために物を買いました」というときに、出しやすいアイコンになっているのかもしれない。
サスペンスの規則を転倒させる手つき
脚本は坂元裕二。さすがという感じで、探偵ものやサスペンスの規則やお約束の転倒のさせ方が面白い。
「事件は会議室で起こってるんじゃない、現場で起こっているんだ」をひっくり返して、モデルと妄想を使って自宅で会議をし続ける。
特に林遣都がいい。自分の恋愛感情を殺意として解釈するくらいの極端な鈍感さ。ハンニバル・レクターへの憧れ。自分をシャーロックになぞらえ、モリアーティを待望する。
でも、それだけの能力もないし、現実にはフィクション内に出てくるような「芸術的犯罪」もないし、理由のない暴力などもない。
自宅捜査会議、あるいはサイコパスたちの水平思考
全員が適度に愚かなのだが、それでも議論が進むのは、みんな常識のねじが外れたまま自宅会議を行うので、ちょっと水平思考みたいな感じになっている。言い換えると、それぞれの仮説生成自体が、それを聞く他者にとってリフレーミングになっている。
ちょっと常識からずれている、という意味でキャッチーだから「サイコパス」という言葉を使いますね。(ちなみに、自分と林遣都をなぞらえていることからわかる通り、サイコパスにディスの意味はないか、自分ごとディスっていると読んでもらうといいかなと思います。)
ただ、単なるサイコパスの集まりだと恐らく議論にならない。けど、登場人物たちは互いに自分なりの強烈なこだわりがあって、その観点からの検証が入る(被害者に共感し過ぎ、合理性がないなど)。他者の言葉を、自分の妙なこだわりで反証していく。そして、こだわりがみんな違う。これ、なかなかに期待できる設定の組み方だと思う。
しかも、「天才ではないサイコパス」というのは、案外出てこなかった気がする。ポイントは、誰も名探偵ではないということ。みんなちょっと常識からずれていて、「普通」に収まらない。みんなただちょっとねじの留め方が人と違う。でも、超人的な能力や賢さがあるわけではない。このパラメータ設定も絶妙。
たぶん、人と違う衝動や感情を抱えていたり、人格の編成をしていたりする人を出すとなると、昔だったら、『空の境界』(奈須きのこ)の超人的な人物の殺人衝動みたいな、シリアスな話になっていたと思う。
でも、「初恋の悪魔」は、人と違う場所に自分を係留した――平たく言えば「ねじの外れた」――を、ただの凡人として複数人登場させ、凡庸な動機(事件解決)ディスカッションさせると適度にコミカルになる、というのは発明じゃないかと思った。
なんの発明だって感じですけど、私たちの新しい「精神のイディオム」になれば面白い。
リコリコに期待したい気持ちがある
それから、リコリコ(リコリス×リコイル)もよさそうですね。敵の置き方がB the Beginningのようで、小規模なB the Beginningになったら心配。
細かなガジェットや設定、人物造形は既視感が強いのですが、その組み合わせ方で見られているという感じ。今後のどれだけ独自性を出せるか次第。(正直むっちゃ期待している)
戦闘シーンの動きのいい作品が多くて、今期はとても期待大ですシャフトのRWBYもいい感じ(冲方丁が脚本・シリーズ構成、あと虚淵さんも関わっているのだとか)。
今日も宣伝をする
さて、中央公論.jpに『中央公論』2022年8月号掲載の原稿の一部が掲載されました。
「ネタバレを避ける人も求める人も、鑑賞体験をコントロールしたがっているよね。その点でいうと、消費体験の再編集という視点が大事かもね」という話。
ウェブでは一部のみ公開なので、タイトルの部分が明かされきっていません。オチの部分は本誌でご確認ください。Kindle版もあります。
あと、今日更新したPodcastでは、『鶴見俊輔の言葉と倫理』が出るよ、という話とともに、『中央公論』の話も少ししました。
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