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デザイナーを学生たちと訪ねたこと(2022.07.19)

唐突にブログをはじめようと思った(n回目)。

短文や動画のSNSに飽き飽きしてきたので、昔のインターネットの空気が吸いたくなってきました。


デザイナーと話したよ

今日は、デザイン事務所の人たちを学生たちと訪ねた。(Balloonの公式SNSにもその様子が載っていますが、私はぼーっと着替えたばかりにTシャツで出かけてしまいました)

色々聞きたかったことはあるが、キャリアの色々な局面における変化やこだわりについて聞きたかったのだと思う。キャリアを想像する上で、色々な事例を知っておいた方がいいと思ったので。

あと、京芸で「デザインB」という専攻が始まるので、その話も少し先方に振ってみようと思っていた。

色々話したことはあるが、二つほど特に印象に残ったことがある。

その二つとは、硬く表現すれば、デザインをめぐる「哲学」と「衝動」のこと。柔らかく表現すれば、デザインする上での「骨」と「趣味」のようなもの。


①哲学とか骨とか

デザインにたずさわるとき、デザインとはそもそも何なのか、自分の軸になるものは何なのかを、定期的に問い直さざるを得ない局面があるということ。

それは、デザインという産業に近い芸術(芸術に近い産業)を「展示」しようとするとき、あるいは、言葉少ない上司などを前にして、その意を必死で汲み取る必要があるとき、「そもそも、自分にとってデザインとは何なのか、自分はデザインに何ができるのか、自分が生活の大半を費やしているこれを何だと思っているのか」ということが自然に問い直される瞬間がある。


②衝動とか趣味とか

それから、仕事上やる義務のないこと――私はそれを気楽に「趣味」と呼びたいが――をやれる人は、仕事でつまずいても強いということ。というか、恐らく、本質的な意味で仕事につまずくことがない。

ここでいう「趣味」は、仕事になんとなくフィードバックされうるもの。

例えば、人文社会科学系の研究者が、漫画や映画を膨大にみて、それについて調べ、考え続けているとき、それは純粋に無意味なことというより、どこかで仕事につながっていくことがある。それが研究テーマになることもあるし、そこで養った「眼」が別の場所で使えることもある。


あ、そうそう。あと、もう一つある。

(二つとかいうと、もう一個続きがち。)


③数のもたらす経験と直観

数によってたどりつける場所があるということ。ロゴを作るときは、100でも200でも描きまくるという経験をすることで、たどりつけるところがあるのでやった方がいいと言っても、往々にして学生はやらない、とも言っていた。

「どうやってたくさん読むんですか」「どうやったら早く読めますか」「どうやったら分析的な視点が」「どうやったら語彙力が」「どうやったら文章力…」などと聞かれることが私はある。

効率とか考えずに、まずは見様見真似でいい。たくさん読み、書くこと。それと同時に、同じ本をくりかえし読み返し、同じ文章をくりかえし書き直すこと。結果的に、その方が効率がいい。

go get your pants dirty in real research、つまり、現場で自分の直観を汚してきなさい、そうやって経験を蓄えないと始まらないという調査屋ロバート・パークの言葉は、いつでも真摯に受け取られた方がいい。


宣伝をするよ

パークについては、マーティン・ハマーズリー『質的社会調査のジレンマ』(勁草書房)に詳しく書いてあるらしいので、買って読むと功徳が積めます(積めません)

ちなみに、『質的社会調査のジレンマ』は3月刊行なのですが、4月、5月に続き、6月でもギリギリ売上上位に残っていました(こちら)。岸政彦さんとのイベントのおかげもあるのでしょう(なんと、岸さんとの対談のアーカイブは今からでも買えます


経験で直観を形作ることの重要性については、以下のインタビューでも、「アンラーン」批判と想像力の重要性をめぐって似たことを語っているので、併せて読んでみてください。

プラグマティズムと非合理な情熱。学びの果ての衝動。哲学者・谷川嘉浩氏インタビュー。


あと、文学研究者の小川公代さんとエヴァンゲリオンについて対談します(オンライン配信あり)。アーカイブもあるので、ぜひご視聴ください。8月3日。

詳細はこちら


蛇足めいた話をするよ

どうでもいいけど、「物語が降ってくる日」という連載タイトルが思いついた。アニメやドラマ、漫画、小説のストーリーや設定から、現代社会の実存や環境に迫っていくような、文化批評のようなことをするときに使えそう。

……そんなこと考えている場合じゃなく、今走っている書籍の企画をどんどん片づけないといけないんですけどね。そんなことを言うならこんな文章を書いている場合でもない。

Podcastも時々更新してくれと言われるけど、なかなか気が向かない(ゲストでも呼ぼうか)。たぶん、対談イベントを普段からやっているし、講義も大学でやっているから、わざわざ話すモチベーションが湧いてこないんだと思う。

宣伝効果がどの程度見込めるのかよくわからないけど、文章が出る度に紹介するとかはやってみようかな。

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